◆◆羽黒山五重塔◆◆

   1966(昭和41)年に国宝に指定。

   平安時代(903940年)、平将門の創建と伝えられる東北最古の塔です。現在の塔は、約600年前に当時庄内の領主であった武藤政氏が大修復を行ったものといわれています。高さが29.4メートルの杮(コケラ)葺きの三間五層の素木造です。

   本来は仏舎利塔としてお釈迦様の骨を納めるための塔でしたが、この塔には観音様が祀られていました。現在は大国主命(オオクニヌシノミコト)を祀っています。近くには樹齢1000年、樹の周囲10メートルの国の天然記念物に指定されている「爺杉」や、樹齢350500年の国の特別天然記念物の杉並木があります。

 


◆◆羽黒山正善院黄金堂◆◆

1929(昭和4)年国宝指定。

1950(昭和25)年国重要文化財指定。

羽黒山荒澤寺正善院が所有する仏堂。庄内三十三観音霊場第一番札所。

羽黒山頂の大金堂(ダイコンドウ)(旧羽黒山寂光寺・現羽黒山三神合祭殿)に対し、小金堂(ショウコンドウ)と言い、三十三体の観音像が黄金に映えることから黄金堂(コガネドウ)と呼ばれるようになりました。

この堂は、728(神亀5)年聖武天皇勅願建立との伝承もありますが、1193(建久4)年に、源頼朝が平泉・藤原氏討伐を祈願し、土肥実平を建築奉行とし、建立した説が有力視されています。

その後、1593(文禄2)年に、酒田城主・甘粕備後守、上杉の家臣・直江山城守が3年がかりで大修理を行ったのが現在の黄金堂と言われています。境内には黄金埋蔵伝説も残っています。

五間四面単層銅板葺。

明治時代、神仏分離令の発令により日本各地で寺院・仏像が排除する活動が盛んになる中、羽黒山も例外ではなく最盛期、羽黒山を形成した十大寺が荒廃していく中で現存する三ケ寺の一つです。正しくは羽黒山長寿寺金堂と言います。

黄金堂内には、東北でも珍しい等身大の三十三体の聖観世音菩薩(御本尊)をはじめ、二対の金剛力士像が二組(山門→康音作1633年と堂内→善慶作1695年)、かつて羽黒山五重塔に安置されていた御本尊前仏のほか、平安・鎌倉・室町・安土桃山・江戸と当時を忍ぶ仏像が鎮座しています。また、同境内にある於竹大日堂では、羽黒山頂の大金堂(ダイコンドウ)(旧羽黒山寂光寺・現羽黒山三神合祭殿)に内陣・宮殿安置であった三山本地仏(観音・阿弥陀・大日)を拝することができます。

 


◆◆羽黒山三神合祭殿◆◆

2000(平成12)年国指定重要文化財。

茅葺木造建造物としては、日本最大で建坪617㎡、社殿高28m、拝殿間口約26m、奥行き約20m、茅葺屋根の厚さ2.1mの豪壮な社殿。用材は主に杉で内部は総漆塗りです。

現在の「羽黒山三神合祭殿」は、出羽三山が神の山となった明治時代からの名称で、以前は月山・羽黒山・湯殿山の神仏をまつる「権現堂」でした。1818年に建立された神仏習合の「権現造り」で、高さ28m、厚さ2.1m、の茅葺屋根は東北随一を誇る壮大な建造物です。

出羽三山は、日本古来の自然崇拝の山岳信仰に仏教、道教、儒教などが習合し成立した修験道の山です。鎌倉時代には『八宗兼学の山』と称され、明治維新直後の神仏分離で神々のすむ神南備山(かむなびやま)に戻るまでは、寂光寺として真言宗や天台宗で奉仕しました。

三神合祭殿は、寂光寺の大金堂(本堂)で、長い歴史の中で火災に何度も遭っており、現在の建物は江戸時代の1818(文政元)年に再建されました。

三神(月山大神、羽黒山大神、湯殿山大神)は内陣中央の金色の扉の奥に鎮座しています。中央が月読命(ツクヨミノミコト)を祭神とする月山神社。向かって右側は稲倉魂命(ウガノミタマノミコト)と伊氐波神(イデハノカミ)を祭る出羽(イデハ)神社。左側が大山祗命(オオヤマツミノミコト)、己貴命(オオナムチノミコト)、少彦名命(スクナヒコナノミコト)を祭る湯殿山神社です。

 


◆◆梵鐘◆◆

  1973(昭和48)年  国指定重要文化財。

  羽黒山上の鐘楼にかかる大梵鐘は、口径1.68m、全高2.85m、厚さ21.5cmで、東北で一番大きく全国でも東大寺(奈良市)、金剛峯寺(和歌山県高野町)に次ぐ第3位と言われています。

  この鐘は、羽黒山中でいられたといわれています。鐘楼から北東へ2キロメートルほどのところに鐘ヶ岡という地名が残っており、鶴岡市大山の鋳物師、伊藤助右衛門はそのときの工匠の一人だと伝えられています。

  

 


◆◆鐘楼◆◆

  2000(平成12)年  国指定重要文化財。

  鐘楼は茅葺屋根の切り妻造りで、桁行き1.8m、梁間3.6m。台風で倒れ、翌1618(元和4)年に山形藩三代藩主最上家信が再建しました。羽黒山中では、国宝の五重塔に次ぐ古い建物です。

 


◆◆銅鏡◆◆

銅鏡<掲載画像の無断使用はお断りします>

   1950(昭和25)年  国指定重要文化財。

   平安時代~江戸時代(羽黒山御手洗池出土)現存する羽黒鏡です。

   羽黒山頂の出羽三山神社境内の御本社である三神合祭殿の前に御手洗池があります。東西38m、南北28mの楕円形の池で、鏡ヶ池と呼ばれています。この池から五、六百枚といわれる鏡が出土し、羽黒鏡と呼ばれ、池中納鏡として全国に知られています。


◆◆太刀 銘 月山◆◆

  1941(昭和16)年  国指定重要美術品。

  月山とは、鎌倉期から室町にかけて活躍した日本刀の刀匠の一派です。彼らは出羽国の霊峰月山山上で鍛刀したといわれていますが、実際にはその周辺の地でしょう。この派の作は鍛えが綾杉肌であることが特色であり、刀文は直刀が常です。

 

◆◆銅燈籠竿◆◆

銅燈竿籠<掲載画像の無断使用はお断りします>

   1950(昭和25)年  国指定重要文化財。

   高さ 1.13m(全長3m程度)。青銅製。燈籠の最もの長い柱の部分。竿には不動明王を象徴する倶利迦羅龍王が、剣尖に噛みついている姿を陽刻し、その裏面には紐帯をまたいだ形で、銘が陰刻されています。


◆◆羽黒山の杉並木◆◆

 1955(昭和30)年国指定特別天然記念物。
  随神門から始まる表参道は、全長約1.7km2446段の長い石段です。道の両側には樹齢350500年の見事な杉並木が続きます。その数は400本以上で国の特別天然記念物に指定されています。山頂まで徒歩約50分。
   二の坂茶店で石段の踏破認定証を渡しています(無料)。

 

 ☆ちょっとコラム☆

 石段には盃やひょうたん、山伏など33個の図柄が彫られており、これを全部見つけた人は願いが叶うと言われています。

 


◆◆羽黒山爺杉◆◆

 

  1951(昭和26)年 国指定特別天然記念物。

 樹齢1000年、幹囲8mほどもある老巨木。かつて、近くに「婆杉」がそびえていたが、明治35年の台風で倒木。山内の600本に及ぶ杉木の中でもっとも古い。

 

 


◆◆玉川寺庭園◆◆

1987(昭和62)年国指定名勝。

玉川寺庭園は室町時代(1450年代)に作庭が始まり、江戸時代(1640年代)に羽黒山中興の祖といわれる天宥別当により改修され、今に伝えられています。様式は池泉回遊式蓬莱庭園といわれ、古びた石組みは、禅の修行僧にも似た静けさと厳しさをもっており、見る人の心に不思議な安らぎを与えてくれる庭です。昭和62年に東北地方の庭園文化の変遷を知る上でも貴重であり、中島・立石・池中の配石など随所に工夫が見られてまとまった庭景を成し、優れていると国から名勝に指定されました。

玉川寺は四季折々花に囲まれ、誰言うことなく『花の寺』と呼ばれるようになりました。春のサクラ、初夏のツツジ・クリンソウ・ハナショウブ、秋にはハギ・シュウメイギクの花が、境内に咲きます。

 


◆◆南谷のカスミザクラ◆◆

 1951(昭和26)年 国指定天然記念物。
 羽黒山参道の「三の坂」あたりから右手へ400mほど入ったところに、松尾芭蕉が六日間逗留した「南谷」の遺跡があります。その庭園の盛土跡や池の低い堤の一隅に、推定樹齢三百年ほどのオオヤマザクラの老大木がありました。指定時は、幹囲4.6m、地上2mのところで東西の二幹に分かれていました。昭和56年の台風で破損しましたが、萌芽した若木が毎年花をつけるように成長しています。

 

 

◆◆月山◆◆

 1972(昭和47)年国指定天然記念物。

 海抜1984mの月山山頂を含むおおむね海抜1400m以高の磐梯朝日国立公園区域。天然記念物に指定されているのは、月山八合目から頂上一帯の地域です。

  八合目一帯は湿地帯で、大小数十の地塘があり、それには稲穂に実のようなものをつけるホルモンジスゲが生えるので、月山の神が稲の穂を植えておられるのだという信仰がうまれ、この一帯を御田原(弥陀ヶ原)と呼んでいます。


参考文献 : 『羽黒修験の歴史を歩く 門前町宿坊街~羽黒山参道』羽黒町観光協会

         出羽三山パンフレット 鶴岡市

         『はちこの皇子 物語り』 鶴岡まちづくり塾「羽黒グループ」

         玉川寺パンフレット

         羽黒山荒澤寺黄金堂 パンフレット


Cradle[クレードル]出羽庄内地域文化情報誌

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